2015年11月22日日曜日

Paul Krebsのフルート

Paul Krebs パウル・クレブスの総銀フルートを吹く機会がありました。

Philipp Hammig以上に情報が無いフルートだと思います。

東独のプロなどに愛用されていたらしいのですが、一般に知られていないのは、Hammigと違って輸出されていなかったのが大きいのだとか。
であれば、Hammig以上に、当時の東独らしさ全開、タイムカプセルのようなフルートなのかもしれません。


Paul Krebs(1915-1989)

1930-33年にErlbachでUbelに学ぶ。
1953年自身の会社を設立、
1963年にSinfoniaグループに入る。
1986年引退すると、"Flötenbau Erlbach" (Flutemakers Erlbach)名義のフルートに統合される。

エアルバッハ(Erlbach)という、マルクノイキュルヒェンのほど近くで、Ubel系の職人として活躍していたようです。

"Sinfonia"というのは、旧東独の国営企業だったようで、J.G.時代のPhilipp Hammigも属していました。


総銀のPaul Krebsを吹いてみると、近い時期と思しきPhilipp Hammigよりも引き締まった音色。
音色の傾向としては、Philipp HammigやA.R.HammigよりもHelmuth Hammigに近いような印象を受けました。
同じ頭部管で胴体だけ試しても、そういう傾向。
管厚は、Philippよりも厚いようなので、ここら辺が音質に影響を及ぼしているのでしょう。
とはいえ、昔のドイツ同士の比較なので、今の平均的なフルートよりも薄いですが。

特筆すべき点としては、2オクターブ目のド#、レあたりの音程はPhilippよりも良いと感じました。
ここらへんもHelmuthに似ているかもしれません。

一般的な視点で言えば、Philippよりも人気の高いHelmuthに方向性が近いということは、吹いたことがある人々からの高評価も納得がゆくところです。

自分が吹いたものは、A=442で何ら問題はありませんでしたし、音量もPhilippと遜色無しといったところ。

生産本数を見ると一人で作っていたわけではないと思いますが、PhilippやA.R.と違い、親方が代替わりせず一代限りの職人といえるようなので、より責任者ははっきりしていると言えるかもしれません。
素晴らしいフルートです。

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